年金資産の運用管理
基金は、毎月事業主から拠出された掛金と、資産運用によって得られる収益を積み立てることで、将来の年金・一時金給付を賄います。
積み立てられた年金資産は外部の運用機関へ運用を委託し、基金で定めた年金資産の運用に関する基本方針にしたがって運用を行っています。
基金の政策アセットミックスについて
現在、基金の資産運用は、制度の予定利率2.0%に運用コストを含め2.7%を目標収益率として設定しています。
この目標収益率を実現するため、当基金では年金資産の運用に関する基本方針を基に以下のように
国内債券、国内株式、外国債券、外国株式のいわゆる伝統的四資産による政策アセットミックス(基本ポートフォリオ)を策定し、パッシブ資産により中長期的に安定した収益の獲得をめざしています。
現行の政策アセットミックス(2023年1月改訂 基本ポートフォリオ)
国内債券 | ヘッジ外債 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 | 短期資産 | |
---|---|---|---|---|---|---|
資産構成割合 (中心値) |
5% | 45% | 13% | 11% | 23% | 3% |
許容乖離幅 | ±2% | ±4% | ±3% | ±3% | ±4% | ±3% |
なお、2020年度よりリスク分散を高めるため、上記パッシブ資産に加え、オルタナティブ資産を一部組み入れています。また、2022年度より別途積立金相当額として生保一般勘定を新たに組み入れています。
過去の基本ポートフォリオ
国内債券 | ヘッジ外債 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 | 短期資産 | ||
2020年4月~ 2022年12月 |
資産構成割合 (中心値) |
5% | 59% | 8% | 5% | 20% | 3% |
許容乖離幅 | ±2% | ±4% | ±2% | ±2% | ±4% | ±3% | |
設立~ 2020年3月 |
資産構成割合 (中心値) |
44% | 11% | 20% | 10% | 12% | 3% |
許容乖離幅 | ±3% | ±3% | ±3% | ±3% | ±3% | ±3% |
年金資産の一部キャッシュ化ルールについて
当基金では、当面の決算対策として、12月末以降一定のタイミングで一定の収益を確保できている場合には、年金資産の一部をキャッシュ化するルールを定めております。ルールの概要は次の通りです。
「資産の一部キャッシュ化ルール」の概要
(2018年11月7日第6回代議員会決定)
I キャッシュ化の時期
12月末、1月末、2月末時点で、予定利回り(2.0%)に運用報酬と業務委託費を加味した必要利回りが確保できており、かつ、その水準が年度末まで運用を停止しても決算段階で不足金が生じない水準である場合は、ルールを適用しそれぞれのタイミングで資産のキャッシュ化を図る。
II タイムラグリスクヘの対応
①前月末の収益率が確定して基金に報告が行われる翌月4営業日までの間、既にマーケットは動いており、このタイムラグについては、その間の株価騰落率で収益率を一旦補正し、②基金からのキャッシュ化指示日から実際の売却日までの2日間のタイムラグについては、過去3年の1月、2月、3月における株式市場の連続する2日間の騰落率を基に定めた「リスク調整率」によって収益率を調整し、最終的なキャッシュ化の可否の判断を行う。
【収益率確定と売却までのスケジュール】~2019年1月の例~
①騰落率による補正
前月末の収益率の実績値報告日までの3営業日のタイムラグについては、直近の市場の騰落率(注)を加味して収益率の補正を行う。
<例1>~足元が下落している場合
2018年12月末必要利回り 2.89%・・・・
2018年12月末収益率 3.50%
2018年12月28日 日経平均24,000円
2019年1月8日 日経平均23,800円(▲0.83%)
補正率 ▲0.83%×34%(内外株式投資比率)=▲0.28%
補正後収益率 3.50%−0.28=3.22%
<例2>~足元が上昇している場合
2018年12月末必要利回り 2.89%・・・・
2018年12月末収益率 3.50%
2018年12月28日 日経平均24,000円
2019年1月8日 日経平均24,200円(+0.83%)
補正率 +0.83%×34%(内外株式投資比率)=+0.28%
補正後収益率 3.50%+0.28=3.78%
(注)上記例ではイメージを掴みやすいよう日経平均の騰落率を用いているが、実際の騰落率はベンチマークであるTOPIX等を使用する。
②リスク調整率による調整
キャッシュ化の指示日および売却当日の2営業日のタイムラグについては、過去3年の1月、2月、3月における連続する2日間の騰落率を基にした「リスク調整率」により収益率の調整を行う。
リスク調整率
【2016年~2018年の1月・2月・3月における株式市場の連続する2日間の騰落率】
1月 | 2月 | 3月 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
ベンチマーク | TOPIX | 日経平均 | TOPIX | 日経平均 | TOPIX | 日経平均 |
a 2日間騰落率 | ▲1.43% | ▲1.62% | ▲1.94% | ▲1.87% | ▲1.25% | ▲1.28% |
b リスク調整率 | ▲0.49% | ▲0.55% | ▲0.66% | ▲0.64% | ▲0.43% | ▲0.42% |
(注)1.b リスク調整率=a×内外株式投資比率(34%)
2.リスク調整率は、当基金のベンチマークであるTOPIXを使用
III キャッシュ化の対象資産
市場リスクの顕在化に伴う収益率の悪化を回避するというルールの導入目的に鑑み、キャッシュ化の対象資産はリスク性資産とする。具体的には国内株式、外国株式のほか、為替リスクのある外国債券を含めた3資産とする。国内債券は無リスクではないものの、価格変動は限定的であり、通常、債券は株式と逆相関の動きを示し、株式下落局面における収益の下支え機能を持つことから、キャッシュ化の対象外とする